2019年12月31日火曜日

2019年ベストディスク11!(暫定版)

確かレコードを買い始めた頃、世の中は正にレコードブームの末期で「日本は世界一中古レコードが高い」とか言われていたような気がする。先日都内繁華街の店に行ってみたら、日本の音楽が高い。そして「For You」ばかり並べた悪趣味な壁!これではファンがどんどん離れていき、ただの嗜好品に堕落してゆくばかり。そんなこととは関係なしに日本国内/国外で今年収穫した70枚くらいのLPレコードから2019年の私的ベスト11は未聴盤が結構あるので選びきれなかったので、とりあえずの暫定ベスト11!(送料含む)

Mamadi Diabate et les Ambassadeurs/A Pas De Géant、¥1000
ユニオンのワールドコーナーで購入。数年前からレコード屋でよく見かけるインパクト満天ジャケット。Les Ambassadeursの演奏でサリフ・ケイタがいないので82年以降の録音なのでしょうか。カンテ・マンフィーラの絶品ギターが心地よいマンデ・ポップ。


Chawiwan Damnoen/Lam Phuthai Yai、1440
Tonchabab record shopで購入。初代モーラムの女王、チャウィーワン・ダムヌーンのシアンサヤーム系列から集めた音源集。当時流行っていたさまざまなモーラムの型を披露しているポップで楽しいアルバム。チャウィーワンのプータイは絶品。

Shelly Thunder /Small Horsewoman、¥680
ユニオンのレゲエコーナーで購入。馬にまたがるセクシーな女性ディージェイ、アーリーダンスホールもの。この時代の打ち込みのビートが肉感的で、シングル盤でスピンしたら気持ち良いだろうな。

Ismael Lô/Diawar、¥200
ユニオンの見切り品箱から購入。ダカールでアルバムを買ったことのあるSuper Jamanoにも数年だけ参加していたというセネガルのシンガー。モダンなギターサウンド、80年代の洗練されたンバラ・ポップ。


Tanya St Val/Tanya St Val、¥300
ユニオンの見切り品箱から購入。グアドループの人気者。変則的なものよりこういった単調なズークの打ち込みリズムのシンセサウンドの方が好み、だということが分かりはじめた。かなり前に江古田のおと虫で他に買うものがなくて何となく買ったファーストを聴き返したらそちらも良かった。

Ken Boothe/Everything I Own、¥4409
ebayで購入。ミスターロック・ステディのイメージが強かったけど、70年代前半のこの録音も素晴らしい歌声。バックの演奏も素晴らしく、日本で出品されると争奪戦になるのも納得。一生聴ける掛け値なしの名盤。

児島未知瑠/Michille、¥2072
ヤフーオークションで購入。全曲松原正樹率いるAKA - GUYによる高品質なバッキング、高音質すぎるマスタリングで、児島未散の透き通るような声質を生かしたプロ仕事、誇張なしで奇跡的な仕上がり。

Angkanang Khunchai/Faen Cha Ya Luem
バンコクでレコード10枚とトレード。シングルの寄せ集めのようなのでアルバムとしての統一感はイマイチだけど、キラーチューンのクオリティーと音圧も解像度も非常に高く◎。

Azymuth/Telecommunication、¥1958
ヤフーオークションで購入。第4の男Hélio Delmiroがつま弾くギターが最高すぎる名曲Last Summer In Rioが7インチよりエグい音質で濃厚。だれか12インチもつくって。ジャケットのイメージどうりの芳醇なこくまろ音楽。

Rosina De Peira E Martina/Trobadors、¥3490
ヤフーオークションで購入。ほぼリアルタイムで日本でもアールヴィヴァンとかで売られていたのだろう。エレクトロニクスを導入し、特殊進化を遂げたオクシタン・フォーク。残念ながら歯擦音が気になるが、他を寄せ付けない緊迫感溢れる声が凄い。

Sidiki Diabaté, Batourou Sekou Kouyate, Djelimadi Sissoko, N'Fa Diabaté/Cordes Anciennes、¥1950
ヤフーオークションで購入。今年はワルジナーさんと縁がなかった。代わりというわけではないけれど、一流グリオ連によるコラの重奏。至福の音がここに。

2019年12月18日水曜日

2018 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.3 後日譚

イサーンからバンコクに戻りすぐに出国。そして後日帰りにトランジットがてら再びバンコクに1泊。シーロムのタニヤプラザというゴルフショップだらけ、日本人のオッサンだらけのビルにあるAudio Minuteというレコード屋へ初訪問。

ジャズ半分、ポップ・ロック半分、和もの少々・・・って、まるで日本のレコード屋やないか!レコードダンボールに貼られた宛名書きをみると、御茶ノ水のジャズレコードショップから広島に移動し、そこからバンコクに運ばれてきたようです。

こちらはレギュラー盤部屋で、隣りの部屋には帯付き細川綾子などのTBMの(今では)レア盤が驚愕のプライスで、結構な量が鎮座しています。こちらのレギュラー部屋では笠井紀美子の「Butterfly」が500バーツと適価。この差は・・・まあそんなものか。昨年ユニオンのセールでTBMをバカスカ抜いていた、シンガポール人のアマチュアディーラーを発見し、興味半分少し話をした。彼は笠井紀美子のTBMのアルバムを購入していたが、「笠井紀美子はボーカリストか?」と質問された。この現象は・・・まあそんなものか。



ということで駆け足で巡った「2018 イサーンでレコードひと山当てられるか!?」の結果は…

イサーンでの釣り果はさきのシングル92枚、残りはバンコクで購入。今までで一番効率が良い収集でした。潔くカセットもLPも1枚も買わず。帰国後、約10ヶ月をかけてひととおり聞き終えました。良曲満載。記念撮影に床にレコードを並べていたらぎっくり腰を発症。

年々釣り果は質、量ともに進歩していますが「ひと山」にはまだまだ・・・そもそも「ひと山」の定義が曖昧なので、決めてしまおう。いつの日かイサーンの古いラジオ局が1杯分買えるまで!



2019年12月6日金曜日

2018 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.2

腑抜けと化した翌日のこと。昨日の釣果は、前年イサーンを放浪した「おつり」というか、前年の旅がなければ生まれなかったもの。ただし全く予想してなった爆発なので、この日はレコード欲のかけらも残っていません。「何にも買えなくてもいいや」くらいの軽い気持ちで来ているので、過剰に欲望が湧かず。「探すこと」自体を楽しむほうが、結果より重要と再確認。ライトディガーならではの発想。

ということで、レンタルバイクを借りて小旅行。

途中で、もはや恒例になってきたラジオステーション訪問。こちらは国営のRadio Thailandです。

許可を頂き、ちょこっと拝見。「7インチはない」ということで、完全にカセットテープ時代のプロモ盤LPだけしかない。いくつかラジオステーションをまわることでラジオ局のライブラリーの内容の傾向がボチボチ分かり始めてきました。

ひたすら田んぼと、その中にぽつぽつと木が生えている、これぞイサーンといえる好きな風景の中を疾走。毎年同じ時期、乾期まっただ中に来ている。思えば前国王が崩御した日の夜を除いて、イサーンで雨に降られた記憶がありません。この日もカンカン照りの快晴。途中ハエだらけのオープンエアレストランで昼食。

この年初めて足を踏み入れたアムナートチャロン県。アムナートチャロンの市場の脇にCDショップがあるので、買い物のついでに店のお兄さんにレコード置いてあるとこ知らないか聞いてみます。するとバスターミナルの近くにそういった店があるらしいとのこと。

期待半分でその店に到着すると、なんと日本からの中古品オンリーの店。現在タイではこうした日本からの中古品専門のリサイクルショップが非常に流行っていて、イサーンでもあちこちに店を見かけます。

陳列がかなりハードコア。まさに日本のゴミの山。レコードありますか?とお店のひとに聞くと、レコードが埋まっているところに案内されました。

イサーンの僻地に眠る80年代日本のシティーポップ。残念ながら、当然ながらも日本盤ばかりです。この日は最終的に滝だか、お寺だかを目指していたんですが、日も傾いてきて断念。

さらに翌日、バンコクに戻らなければ行けないので、朝不要な荷物とレコードを整理して郵便局から発送。途中前年訪れたラジオ局が気になり行ってみると、局の新しい建物は出来ていましたが、裏手にあった地図を書いてくれたおばさんの家と他数件の建物が取り壊され更地になっていました。

スリンのボーコーソーは度々利用していますが、この日は小さな虫が超大量発生。裏手に池があるからでしょうか。あまりの多さにバスを待っている子供が発狂しています。遅い時間のバスチケットを取ってしまったので、待っている間が苦痛でした。

つづく

2019年11月24日日曜日

2018 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.1

いよいよ本編「2018 イサーンでレコードひと山当てられるか!?」の始まり。この年は2泊4日のスケジュールです。

夕方になり、暇つぶしに訪れたバンコクの果てパンティップを後にし、バスでモーチットのバスターミナルに戻ってきました。そして昼間予約した庶民的価格の夜行バスに乗り込みます。今までタイトな日程をこなしてきているので、知らず知らずのうちに疲れも溜まっているのでしょうか、


あっという間に眠りの底へ落ちt ・・・・ぜんぜん寝れない!


短距離でちょくちょく停まる各駅停車みたいなバスだったので、人の出入りで騒がしく、不意打ちのラーメン休憩とかがあり、寝たと思ったら起きるを繰り返し、なかなか寝付けませんでした。それでもじわじわと夢の中へ引きづり込まれていきます。

翌朝、目を覚ますと夢の続きなのでしょうか?目の前にこんな箱とカゴが・・・む・む・む!!!


キターーーwww 今年は早くも初日でクライマックスかーーーーーーーーーーッ?!


カゴの中だけでも無造作にブチ込まれたシングルがいっぱい。さっそく試聴部隊が出撃します。写真では伝わりづらいですが、なかなかハンパない量が詰まっています。

シングルをたぶん400枚ぐらい聞いたでしょうか。もうね、お腹いっぱい  (( ´З`)=3 グフ

モーラムだらけ、凄い高確率でモーラムが出てきます。これは本当に夢の中にいる気分でした。チャウィーワンのトゥーイ〜プルーンとか、ルークトゥーンも含めて70年代黄金時代の王道どころのメンツがジャブジャブ出てくるので、暑さも相まって途中から気持ち悪くなってきます。この気分は例えるならば空腹から一気にいいものを食べ過ぎて消化不良になっている感じでしょうか。

気がつくと昼ご飯も食べずに午後3時くらい。いい時間です。最終的に納得のいくもの91枚を選抜し4200バーツで購入。

แก้วตา พญาแล/อย่ามาซูนคีง
珍しいスリン・パクシリレーベルから、Kewtaa Phayalae(?)というマイナーモーラムによる激キャッチーなヘビー級ルークトゥーン。一度聞けば誰でも歌える。この人は80年代にカセットを残していると思う。




มลฤดี พรหมจักร์/ลำตังหวาย
モンルディー・プロムチャックとチャウィーワン・ダムヌーンのラム・タンワーイが数枚出現。最初は同じ念仏みたいな曲のカバーだと思っていたけど、この日に複数種類出てきたことで、この旋律がモーラムの型のひとつだと後日初めて認識。チャウィーワンのほうは前年ゲットしていたが全く記憶にも印象にも残っていなかった。しかし何種類か並べて聴き比べると面白い。どれも地味なのにかっこいい。




ชะบาไพร นามวัย/ลำเพลินรำวงลักไก่
クワンチャイ・カーラシン・ユックパッタナー楽団、チャバープライのラム・プルーン。すかすかな音質(電気楽器が入っている?)。それが逆に、キャリア終盤にさしかかっいたチャバープライの直後のカセット時代に放たれた最後の閃きを予見させます。




เพลิน พรหมแดน/ว่านมหาสนุก
プルーン・プロムデーンの人気ガンジャルークトゥーン。まるで同時代のエチオピア歌謡とシンクロしそうなホーンサウンドと能天気なコーラスが楽しい。




この予測不能だったクライマックスにより悟りを開きましたもういいや」と

その「今年はもういいや」、という感情が、全く前触れなしにクライマックスに遭遇してしまった人間の末路なのでした。

別名「腑抜け」ともいいますが。そういえばヤツは前年も登場していました。この年は初日から登場することに。「腑抜け」には前年のように「無差別レコード持ってませんか攻撃」を繰り出す情熱は備わっていないのです。

つづく


2019年11月11日月曜日

バンコク, Bangkok/Siam Vinyl

昨年も紹介したバンコクの北の果て、隣県のノンタブリー県にある全体的にやる気のないレコード屋モール、パンティップ。

モーチットのバスターミナルからの夜行バスの出発時間までかなりの時間があったのでついつい訪問。モーチットから104番と134番の路線バスが直通していることを発見しました。

前年も買い物をしたビーの店に向かって歩いている途中この店、Siam Vinylが目にとまりました。「はて?こんな店前もあったっけ・・・」と思いつつ、やけに他の店よりもかっちりとしている店構えに惹かれ入店。

すると、まあまあ大量の7インチシングルを在庫していたので、さっそく臨戦態勢に。セルフ椀子そば形式で試聴を開始。この一年タイのレコードを1枚たりとも買っていないので、やる気がみなぎる。

セルフ椀子そば形式は、プレイヤーで針を飛ばし飛ばししながら、飛ばし聴きしつつ、同時に次に聴くレコードをスリーブから取りださなくてはならないのですが、久々にやると全然上手くできないしスピードが出ません。腕がもう一本欲しい。黒いTシャツの男が聴き終えたシングル盤の山を物色しています。途中ビーが通りがかり、この店でレコードの保管袋を購入していました。ビーに「あとで行くよ」と挨拶。

いつのまにか店主の姿が消えていた。これぞアジアのゆるさ。200枚くらい聴いたでしょうか、モーラムは一枚も登場せず。バンコクでは自分のハードルを下げないともはや何も買えません。ルークトゥーンのシングル12枚を800バーツで購入。

続いてビーの店にいくと、以前の場所からひとつ隣りに移動していました。そして間口が半分に圧縮されている。残骸のような7インチボックスをほじくりルークトゥーンのシングル6枚を600バーツで購入しました。以前は1枚100バーツだと安いと感じていたが、最近は高く感じられるようになってきています。

ちなみにビーの店の隣りにあったミスター・チャンの店はだいぶ前に移転していたというのは聞かされていましたが、この日初めて店の新たな名前が判明。その名もBravo Records。チャットチャック付近にあるというので、色んな人が言う断片的な情報をつなぎ合わせて、あとで探してみましたが見つからず。店名が分かった時点で最初からグーグル先生に聞いてみた方が早かったな。まあ、またそのうち。

たまたまタイ滞在中にタイの昔の音楽にドハマりし、なんとなくそういった音楽を掘り始めて3年目。こうしてバンコクでモーラムの7インチシングルが出てこないエサ箱を栄養失調気味のインコのようにセカセカとつついていると、今や死語といってもいい「タイファンク」という言葉が思い浮かんできた。そんなもんよりモーラムをくれ!もはやバンコクには用はなし、と悟ったり。さっさと、夜行バスでイサーンへ、いざ行かん!!!

2019年10月29日火曜日

バンコク, Bangkok/Vinyl Die Hards

サワディーカッ(プ)!
ということで今年は、前ぶりもなしに唐突に始まります、お待ちかねの?タイ王国、イサーン探訪シリーズ、2018年版!!!

ちなみに広大なかの地をあてもなく、気ままに彷徨った2017年版はこちらのリンクなどからどうぞ。


まずはバンコクからスタートします。

上の写真はバンコクの東の最果て、パラダイスパークという巨大ショッピングモールの向かいある、とあるコーヒーショップの入り口。

こんな感じの大きな幹線道路Srinagarindra通り沿いにお店はあります。左に写っているのがパラダイスパーク。最果てまでやってきて悠長にコーヒーブレイクか?しかしコーヒーショップの中に入るとこういう場所が・・・。

Vinyl Die Hards。さっきまで店の名前を「Vinyl Die Hard」だと数年間にわたって勘違いしていました。いずれにしても日本人が持ち合わせていないおしゃれなネーミングセンスですな。

昨年まではひと街区奥の、すぐ向かいにあるマンションの一階のテナントスペースでインテリアもいい雰囲気で営業していましたが、経営縮小傾向なんでしょうか、こちらの身内の?建物に移転してきました。いつもジェントルなおじいさんが店頭に立っておられます(実際は座っている)。もともとはこのおじいさんがオーディオショップを経営していたようで、真空管とかがいまだに置かれています。

在庫はほぼ99%が中古レコードで、アメリカ、ドイツ、日本からゴミとして最終的に流れてきた盤が99%を締めています。LP、12インチは一律300バーツだけど、日本盤だけ200バーツとなぜか地位が低いのであります!数年前、初めて旧店舗を訪れた時は、ランダムで無造作に詰め込まれたエサ箱をザクザク見ていると、国分友里恵のファースト・アルバムが「はい!ひょっこりはん」してきて「ドキッ!!!」としたのをよく覚えています。

その後も後日、四辺がレコード棚で鉄壁ガードされ、その中に埋もれているレコードの固まりみたいなエリアがあり、身長ほどある高さのレコード棚の頂上まで行儀悪くよじ登り、行儀良く棚の上に正座して、埋もれたレコードを上から掘り、なかなか珍しいものや人気の和ものを掘りあてたことも。レコード屋で棚の頂上まで登らないとレコードが見れなかったのは今のところこのレコード店だけです。

日本の「ゴミ」の破壊力をヒシヒシと感じられる場所でした(この店がアクセスしづらい場所に位置するからというのも大きな要因でしょうが)。

しかし、そういう楽しかった思い出も今は昔のはなし。それは和ものブームが東〜東南アジアのひとにぎりの人々に波及し始めたか、波及し始める直前のこと。

今じゃあ、バンコクッ子(+オッサンたち)の一部のレコードマニアも「シティポップ!シティポップ!」言うてはりますが、ほんの数年前まで、ほぼほぼ注目されておらず、中国や東南アジアは場所によっては「掘りロマン」に溢れていたのでありました。そういえば『釣り・ロマンを求めて』なんてテレビ番組があったのを「掘りロマン」と書いてから思い出しました。

ちなみに当ブログでアジアの「掘り・ロマンを求めて」いたときの記録は、PC表示に切り替えて「中国」とかのラベルをクリックしていただければご覧頂けます。

長い・・・

でた「長い」!

結局移転後はちょっと狭くなり在庫もスケールダウン。というかほぼほぼ新しくレコードが補充されている形跡がありません。この日はがんばって、まだまだマイナーな和もの2枚を400バーツで購入。

2019年10月16日水曜日

ストックホルム, Stockholm/そのほかのレコード屋

とにかく数が多いストックホルムのレコードショップ!釣り果があったそのほかのレコード屋を観光がてらでも簡単に行ける範囲で3軒紹介。ちなみに本当はVasastan周辺にも良いレコード屋が点在しているので、そう遠くはないし、時間のある時は足を伸ばしてみよう!

まずはAlley Stuff。中心ショッピング街Katarina-Sofiaの北端にあるレコード屋。店内はけっこう乱雑な感じ。なにかあるかなと思い店の奥へ奥へと潜っていくも、奥に行くほどなにもない。結局手前の方で発見した2枚を購入した。

ここは常にレコードが50%オフなので、「お得に生きがいを感じる」私のような人はぜひ行ってみよう。中学生くらいのオタク風の眼鏡の男の子も掘りにきていた。

次にPlugged Records。Gamla Stanの目抜き通りにあるレコード屋。観光地にあるだけあってお客が多そうだ。日本人のお客もふらふら〜と入店していた。中古レコードは少なく、CDも大して豊富でもなくといった塩梅。たぶん地下かどこかにイベントスペースもあるようで、ライブとかができるみたいだ。

超キャッシュレス先進国のスウェーデン、この滞在でも一度たりとも現金を必要としていない。120円のレコードを1枚買うのにカード払い。雨模様で手ぶらなので袋までもらって申し訳ない気分になった。

一番枚数を購入したAn Ideal for Living Stockholm。Katarina-Sofiaの中心のお洒落な雰囲気の地区にありアンティークショップも兼ねている。まず外に置いてあるエサ箱からかじりつき、スウェーデンものの欲しかったレコード2枚を安く発見。

入店し店内のレコードをチラ見したけど興味の範囲外。「ダメかね」と思ったところ、地下のダンジョンへと続く階段を発見!そこからがナカナカの魔窟だった。狭い地下室にスウェーデンもの含めレコードが満載だ。試聴機を長時間占有している客を他の客が注意していた。この魔窟をがんばって見てしまったおかげで夜になってしまった。5枚購入し、他の店で見つかるかもと思い1枚を放流。店のオヤジが少し値引いてくれた。

結局放流したこの ↑ のレコードが他店で見つからず、奪還しようと最終日に空港に行く前に少しだけ時間があったので再訪。すると定休日でもないのに店が閉まっていた。よく見ると極小さな張り紙が・・・


今日からバイイング・トラベルに行くから2週間休むね♡・・・

え、ちょ、エッッーーーーー (゚ρ゚)ノ !!!」


奪還作戦失敗、オワタ・・・そう思われた矢先、

店の前で少し大げさに頭を抱え途方に暮れていると、お兄さんが話しかけてきた。この店のスタッフだという。運良く店の鍵を開けてくれてお目当てのレコードを素早く回収完了。正にNOW OR NEVERな間一髪の奪還劇だった。お兄さんは最近東京で数百枚レコード買い付けて全部飛行機の預け荷物で持って帰ってきたという強者。

店が休みでレジが開けられないので、最終日にして初めてスウェーデンのお金をコンビニATMでおろすことになり、スウェーデンでのキャッシュレス滞在を完遂できなかった。

2019年10月3日木曜日

ウィーン, Wien/Sing Sing Records

ブタペストからバスでウィーンに到着し、ちょっと郊外で用事を済ませて向かったのが、こちらSing Sing Records。圧倒的に目立っている外観。伝統と現代性が融合するウィーンらしさを感じさせる。と言うと大げさか。久々の2度目の訪問。

今ブリューゲルの「バベルの塔」がウィーンにやってきていて、街のあちこちにポスターが張られていることに気がついた。この日にしかチャンスがないので「おれバベル見てくるよ、ウェーイwww」と店のオヤジとオバはんに荷物を置かせてもらい、ダッシュで近所の美術史美術館へ。するとブリューゲルの企画展は本日入場終了。企画展あるあるの早く終わるパターンだ!

肩を落としとぼとぼとSing Sing Recordsへ戻ってきた。結構な幅の道路の反対側から見てもこの目立ちよう!近くには人気店Moses Recordsもあるから合わせて訪れてみよう。


いい意味でなんだかカオスな店内。3つの部屋に分かれていて端から端まで見たらきっと丸一日は楽しめるだろう在庫量。時間もお金もないので、見る場所を限定し、まずは奥の部屋のジャズコーナーへ行き高速堀り、それからほんのちょこっとあるワールド箱にかじりつく。

ロック好きの店のオヤジとオバはん、ライブのビデオを流しながらカウンター内でずっと小躍りを継続している。預けた荷物が彼らのステップで踏みつぶされないか心配。カウンター前では座って勝手に試聴可能。

向こう側がポップ・ロックのレコードコーナー。さらに右の奥の方にジャズ・フュージョンコーナー。良心的な値付けのお店だ。

Egberto Gismonti Group/Infância、10EU。
Gismontiのレコードを見かけるたびに思うことは、なんだか海外では知名度がとても低いこと、そして日本のレコード屋のセールでは、いつも値付けが高いので常に残っている。Nando Carneiro、変質的なグループGroup UmのベーシストZeca Assumpção、教授とのプロジェクトで日本でもおなじみJaques Morelenbaumが参加のグループ名義の作品。

Various/Grèce documents recueillis par Domna Samiou、8EU。
Domna Samiouというギリシャの民俗学者がコーディネートしたフィールドレコーディングもの。地中海のかほり。

Various/Ladakh - Musique De Monastère Et De Village、9EU。
チベットとパキスタンに挟まれたインド北部Ladakh地方のフィールドレコーディング。A面は僧院の儀式、B面は村の音楽を収録。女声、シャーナイと思われるダブルリード、太鼓によるB面2曲目が放っている霊気が半端ないです。音質面でも生々しさが素晴らしく、これは特Aクラスの一生もの。



2019年9月16日月曜日

ストックホルム, Stockholm/Skivhögen

ストックホルムの中心街Katarina-Sofiaに数件点在しているレコードショップのうちの一軒がこのSkivhögen。どんよりとした天気の中足早に到着。坂が割と多い地区、車道のど真ん中をローラースキーで坂を滑り下るワイルドなやつまでいる。この辺を歩く時は気をつけましょう。

天井が高く割と広々とした店内。割とロック中心にオールジャンルなセレクション。CDとDVDもたんまりと在庫していた。値段設定は中の中程度かと。ロック好きの店主の店って感じの雰囲気。

絶賛鏡張りの店内、万引きに気を尖らせているようだ。奥の部屋にもカーブミラーが設置されていた。まさにこの店、死角なし。ヨーロッパにはダミーのCCTVとか売ってないんだろうか?

クールな店のオヤジに挨拶し、奥の部屋に固められているスウェーデンものコーナーを中心に探索。途中小窓からオヤジが顔を出した。あれ?さっきと服装が違う気がする。あとでよく確認すると同じ顔のオヤジが二人いる!最初のオヤジに聞くと「あれは俺の奴隷だ」とのこと。

Pär Lindgren/Electronic Music、175SEK。
スウェーデンコーナーから出土。謎なので店で流してもらい購入。真空状態に放り出されたような激サイキックなエレクトリックミュージックコンクレート。明らかに激シブです。