2018年3月4日日曜日

ハバナ, Havana/Tienda Seriosha




ああ〜〜憧れの、夢にまで見たキューバ、そしてラ・アバナ!!
カンクンからたったの1時間のフライト。ついに2017年春上陸。この場所に立っているというだけで身体中の毛穴からドーパミンが湧き出てくるっ感覚!
到着翌日に向かったのは、これまた夢にまで出てきた、Tienda Serioshaさんのレコードショップ!ハバナのセントロ、キャピトリオ(国会議事堂)から歩いて5分ほどのNeptuno通りにある。今見たらグーグルマップで「Tienda Seriosha」と打てば正確な位置が出てくるはず。便利だ。この建物のいちばん奥。


さかのぼること2012年、ひょんな事からキューバ音楽に目覚め、遠い時代の異国の香りにくらくらしながら訳もわからずレコードを集め始めた当時。ネットサーフィンで誰か外人の旅行記の中でこの店の存在を知り、その後ジャイルズ・ピーターソンがここでバカスカレコードを抜いているYouTube動画を見つけてしまい唇を噛んだほどの店だ。まさに海外レコード屋への憧れの原点、「世界のエサ箱から」の最終目的地なのだ。


そんなふうに大興奮した日本人客。競争相手もいないのに通常の2倍強の猛スピードで店に入るなり、「オラッ!ここに来るのが人生の夢だったんだー(涎)!」と店の中にいた人にまくし立ててレコードをパタパタし始める。彼らにとってみれば興奮して店に突進してくる日本人客、外国人客は腐る程見てるだろうから、その温度差たるや推して知るべし。
よくよくあとで考えると、この時まくし立てた相手はTiendaさんじゃなくて別のお兄ちゃんだった。彼は多分同じ店の中で電線を売ってて、地元の人がチラホラ買っていく。でもレコードの値段を親切に教えてくれた。大が5CUC、小が2CUC、以上。そう、ここは超明朗会計!5年前の情報となにひとつ変わっていない。いちばん右のクールなおじさんが店主。
ハバナにはチラホラと古本屋とかでレコードを売っている店が他に何軒かあるが、ここ以外は全部ニワカ。ここが唯一のリアルレコード屋だ。


このアメリカ盤にも似た紙の匂い。たまらなく香ばしい。
2週間かけて全部で4回出勤。そして実感したのが、数はそれほどだが日々キューバ人が売却しにくるので、高頻度で新入荷があるようだということ。毎回買い物ができた。というか毎回レコードを見てる途中で店が閉まってしまうので、見れない分を次回に持ち越すかんじ。


床にそびえるシングルタワー。暖かい地域特有の良からぬ「なにがしか」も隙間から出てくる。キューバのレコードに関してはだいたい欲しいものが決まっている。結局全部で大を13枚、小を7枚購入。


夕方5時になるとみんな帰りまーす。
右の壁になにかの外国の雑誌の記事のコピーだろうか? "Viva Vinyl" という見出しで店主の写真入りで貼ってある。フィデルが逝きアメリカと国交を回復しインターネットが普及しはじめ…急速に外の世界と再び繋がり出しているキューバ。変化に対しては賛否両論だろうけど、変わるのであればこの店もいい方向に変わってくれればうれしい。でもこの店は店主のキャラ的に変わらなそうだ。


Juan Pablo Torres Y Algo Nuevo/Super Son
このジャケのTシャツが欲しい!まずは軽く挨拶がわりのように…この天才コンポーザー、トロンボーンプレイヤーの70年代の代表作3枚が出てきた、嬉しい!


Chucho Valdes/Jazz Bata
この直後Irakereを結成し世界を席巻することになるChucho Valdesの傑作ソロアルバム。ネチネチとした"Son No. 2"はクラシック!弟子のRoberto Fonsecaのグループのライブをハバナで観ることができたけどこの実験精神は、師匠から弟子へしっかりと受け継がれていた。


José Antonio Méndez/Jose A. Mendez
Frank Emilioと珍しくニヤつきながら打ち合わせするホセー。メキシコから里帰りした直後?おそらく60-62年ごろに吹き込んだアルバム。貴重なPanart内袋が残っている。


Grupo Cubano De Musica Moderna/Grupo Cubano De Musica Moderna
そんな盲目のピアニストFrank Emilioが名手たちと同時期に吹き込んだキューバンジャズクラシック。擦り切れ果てたズタボロのPanartプレス。


Septeto Nacional De Ignacio Piñeiro/Sones Cubanos
Nationalを冠するのは伊達じゃない、キューバ音楽まずはこれを聴け!的大名盤。もちろん爆音で。ハバナから800km、本場サンティアーゴ・デ・クーバのCasa de la trovaでサボールムンムン♡地元ソングループのステージを観たが、ダンス上等、そのド迫力に終始圧倒された!ポップミュージックのふるさとに来たんだと思うと感慨深かった。そうそうダンス上等といえば、ハバナで夕方下町を歩いてたら偶然サンテリアの儀式に出くわして中に入れてもらったっけ。


Conjunto Tipico Cubano, Septeto Tipico Habanero/Tipico Y Habanero
セントロ近くでコンサートポスターを見かけたソンの名門中の名門アバネロ。活動歴ざっと100年!?酸いも甘いもこれに詰まっている!アオラコーポレーション社長に勧められたのを思い出す。素晴らしいレコードを日本に紹介した先人に感謝。


Los Zafiros/Los Zafiros
カリプソ、サンバ、ボッサノーバ…節操なくいろいろなスタイルのリズムを取り入れたコスモポリタンなパヤパヤヴォーカルグループ。


Felipe Dulzaides Y Su Cuarteto/Una Noche Con
革命前後キューバで最もモダーンであったFelipe Dulzaidesのカルテット。ヴォーカルにMargarita Royeroを迎えてラウンジ〜一歩手前の高品位なジャズ。キューバは革命直後から60年代後半頃にかけ極端に音圧が低いプレスになっていくけれど、これは革命前RCAで音質が良好!


Emiliano Salvador/Cancion A Isela / Son En 7/4
不世出のピアニストEmiliano Salvador。2枚目のアルバムからシングルカット。疾走する7/4キューバンジャズがカッコいい。