2018年12月31日月曜日

2018年ベストディスク11!(暫定版)

確かレコードを買い始めた頃、世の中は正にレコードブームの末期で「日本は世界一中古レコードが高い」とか言われていたような気がする。今年は和モノバブルの崩壊などからも分かるように、再びレコードブーム終焉への序章的な年になった。そんなこととは関係なしに日本国内/国外で今年収穫した60枚くらいのLPレコードから2018年の私的ベスト11は未聴盤が結構あるので選びきれなかったので、とりあえず暫定ベスト10!


Vasco & Voginha/Vivencias ao Sol
ebayで購入。プライアのラジオ局で知ったレコード。Vasco Martins本人が寄付したのか、30枚ぐらいあるから1枚ちょうだいよ、とライブラリー担当のトミーにねだったがダメ。探し続けて幾月年、ポロっとイギリスから出土したのを競合相手なしでそそーっと落札。ひさびさに聴いてみるととてもシンプルな演奏で、風通しのよいカーボヴェルデ空気感そのもの。


Colin Offord/Indigenous Species
名ブログ「森と記録の音楽」を読んで知りオーストラリアから恐る恐るお取り寄せ購入。Vasconcelosをもっと奇天烈にしたかんじ?地球の鼓動を聞いているような、はたまた宇宙と交信しているような気分。Absolutely Wiredな音霊体験。


Nelson Angelo/Violão E Outras Coisas
いつも強烈なインパクトを残してくれる店主のいるBOM DISCOSで購入。ジョイスの元旦那のギタリスト。音溝に刻まれたマイナスイオンとサーフェイスノイズがいい塩梅で混ざり合い、ブラジルに行きたくなるのは気のせいだろうか。


Steve Hiett/Down On The Road By The Beach
リサイクルショップで購入。千葉のおにーさん、入っていない歌詞カードを血眼になって探していたのは私です。イーノフォロワー的サウンド。1曲目ですべての意識を蒸発させてしまう。それ以外の曲がぜんぜん印象に残らない。猛暑、モワッとした部屋で冷房をつけずに気絶気味で聴きたいヘロヘロのサマーアンセム。


Hugh Mundell /Africa Must Be Free By 1983.
ディスクユニオンのレゲエコーナーから購入。この人誰?的な感じだったが、予備知識なしで聴いてみるても本当にカッコいいパブロによるプロデュース、ジャマイカの伝説のシンガーのファーストアルバム。こいうのを一生モノというのだろうか。


OPA/Goldenwings
大阪のレコード店からお取り寄せ購入。グルーヴィこの上ないウルグアイのグループによる鉄壁の演奏。このリズムの洪水を浴びているとモンテビデオで目撃したひとりカンドンブレ大道芸人を思い出してしまう。


Argo/Discophonia
リガのディーラーの倉庫で購入。「リトアニアのスペースディスコバンド」みたいに紹介されることが多いようだけど、耳をそばだてて聴いてみると、当の本人たちの教養の良さは隠せないようで、もっとドロッとした違和感を含んだ一筋縄ではいかない必聴音楽。


Makám/Közelítések
リサイクルショップで購入。同郷のKolindaと連名でも作品を出していたハンガリーのフォークグループ。フォークというよりも、かの地で盛んに行われていたミニマルミュージック実験の素晴らしき成果。日本人がアメリカのとある大学のライブラリーから大量に持ち出した世界各地のどマニアックなフォークロア系レコードの束に紛れていた。


Сергей Симонян/Играет Армянские Мелодии
カウナスのレコード店で購入。1曲目に針を置き5秒で購入決定。アルメニアのSergey Simonyanというリード奏者がZurnaというインドのシャーナイと同系統の木管楽器を演奏している。無名の達人かと思いきやアルメニア交響楽団ソリストやどこかの芸術監督を務めたりとエリートの模様。チャルメラみたいなZurnaと太鼓や通奏音との絡みはまるでフリージャズを聴いているよう。南コーカサス、新たな世界の扉を開けてくれた。


Waldjinah/Ngelam-Lami
ヤフーオークションで購入。昨年にひきつづき今年も大トリを飾るこの安定感抜群のワルジナーさん。筆舌に尽くしがたい、南国経由、天国行きの至福音楽。

2018年12月19日水曜日

後日譚 〜 バンコクにて 〜




なんか懐かしいヒビキ「ばんこく」、遠い世界のような感覚。久々にイサーンからバンコクに舞い戻ってきました。横移動にボートに乗ります。


暇すぎて居酒屋レコード屋REC.に来てしまった。
https://travelguideforloversofrecordstores.blogspot.com/2017/02/bangkokrec.html
タイのシングルが相当減っている。何もない。自らを「ハンター」と呼ぶ店主が見つけてきたというデットストックLPを見せられる(写真のものとは別のもの)。こちらは腑抜け状態なので食指が動きません。ハンター店主、居酒屋が忙しくてハントに行けていない模様。


サファンソンというところにある、アンティーク、ビンテージ家具店のPAPAYA。さらに暇すぎるのでこんなところまで来てしまった…


やたらと巨大でフォトジェニックな店内。中華圏の若者観光客に人気のスポットみたい。レコードも一応売っています。


ジュークボックスの中に長年閉じ込められ?グチャグチャになったレコード。こんなのタダでも要らない!

その後、Bigtiger Studioへ立ち寄ったあと、夜スティサンからフワイクワーンへ歩いていると、なにやら爆音が…80バーツくらいで中へ入ってみます。


はぅ、踊り狂うイサーン男たち!! ルークトゥンモーラム楽団、プラトム・バントゥンシン(ประถมบันเทิงศิลป์)、フロムコーンケ〜ン!お笑い、バンド、踊り子、歌手…と200人ぐらいメンバーがいるんじゃなかろうかという超豪華さで楽しい。


街中なので、かどうかは分からないが音圧がちと低い気もするが、バンコクのど真ん中が熱狂のダンスフロア化。


圧倒的に可愛く大人気なエーン・オラディ。ステージ前でセルフィーする客とおひねりとをかき集めていきます!今レコードやカセットで掘っている昔のレジェンドたちもこんな風にバンコクやイサーンの田舎をドサ回りしていたんだなと思うとなんだか感慨深いもんです。

そんなこんなで帰国。夏休み大型企画「2017 イサーンでレコードひと山当てられるか!?」の結果は…


イサーンでの釣り果を確認。とりあえず並べて悦に浸ります(←大事な儀式)。


LPは10枚捕獲。右下のランシマン楽団のアルバムは貴重かもしれない。


カセットテープはスタートダッシュが効いたのか気がついたら38本で満足。未だに5本くらいしか聴けていない…


シングルはイサーンで46枚(残りはバンコク)。最近やっとひととおり聴き終えた。去年の20枚から倍増だが「ひと山」にはまだまだ……まだ続くのか?

ということで、夏休み大型企画はこれにて完結。いつのまにか冬休みになってしまった…… 一応旅をするついでにレコードを探していることになっていますが、レコードを探さなかったらなかったであろう出会いもたくさんありました。


ご協力いただいたタイのみなさんコップンカッ(プ)!

2018年12月11日火曜日

2017 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.9




昨日の一件でレコード欲求度数がだだ下がり。山を目の前にして登れなかった登山家の気分です。そして早くスリンを抜け出したい。この町とは相性がよくない気がするのだ。でも翌日狂犬病ワクチンの2度目の摂取をしなければならないので、バンコクと天秤にかけスリンに残ることに。


時間もあるのでバイクを借りてスリン周辺のクメール遺跡観光へ。途中スリン県内、スリンの町から20キロぐらい南下、プラサートという町に立ち寄りました。そしたらおもわずCDショップを発見。 PRSOUND。


この店は自主レーベルをカセットテープ時代から現在に至るまで経営しているみたい。なのでクメール系タイ人によるローカルなCDやカセットがかなりあります。今同じ店だと気がついたが、スリン市内のスリンプラザの目の前にも支店があった(現在は閉店)。イサーンでこれほど立派な昔ながらのCDショップを見つけたのは初。


カセット数本とCDを購入。未だに聴いていないPRSOUNDの3本… 誰か開封してくれませんか?


ついにこの帽子を脱ぐ時が来ました… 後日、2度目のワクチンを摂取。今までローカルな交通手段で移動していたので久しぶりの普通で豪華なバスで大都会バンコクへ戻ります。

つづく

2018年12月7日金曜日

2017 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.8




スリンの町はもうすぐ象の祭りが開かれる。祭りの前なのに普通に象が路上を歩いていて落し物をしていく姿には驚かされます。スリンに到着した前夜、犬に足を噛まれました。遂にタイで恐れていた事態が…念のため病院でワクチン接種。
病人だからといって無益に過ごすのもなんだかな、ということで、いつもと違い足を使わず携帯でサクサクっと検索… すると、ある驚きの画像が!驚きでアゴが外れかかったまま宿の番人のオバさんに確認し、とりあえず現場に急行します。


現場に到着!大きな吹きさらしの倉庫的な場所です。これは、空っぽのレコード棚… そう、これはご存知ラジオ局の什器ですね。中身はいずこに〜?!
現場周辺の空気感から察するに、隣で局の建物の建て替え中。中身を探しに今現在の局を探さねばなりません。とりあえずここの裏の方にあるかも〜、という安直な考えのもと上の写真に写っている真ん中の通路をくぐって裏に出てみます。


すると、そこは大きな空き地になっていて、空き地を取り囲むように家が何件も建っていました。なんだこの場所は?住人のおばさんに聞いてみます。ラジオ局どこですか?
そしておばさんに地図を描いてもらいラジオ局へレッツゴー!果たしてこの地図で本当に辿り着けるのか?自問自答しながら先ほどの通路を引き返し道へ出ようと思います。通路を通り抜ける際、ふと、こんな光景が右側に…


シングルレコード……… だけが打ち捨てられている……… 目の前に山があぁぁh(遠い目)

ブログのタイトルに掲げる目標「ひと山」どころか「よん山」くらありますよ。裏に出るときは、方向的にこの棚を背にして歩いていたから全然気がつかないで素通りしていたのです。


内容はともかく、不思議なことに気がつくとちゃんとラジオ局へ辿り着いていました。おばさんの地図から想像していた距離のゆうに50倍は離れていたでしょうか。録音が終わるまで人懐っこくアグレッシブなスタッフのお子と戯れて待ちます。

そしていよいよこの旅のクライマックスが!!!

ボス:「え? 小さいレコード?ああ〜あの古いゴミゴミしたアレね。小さいやつは要らないから、今すぐ、とにかく、全部持っていってよ

酔狂:「マッ、マジっすか!?いただきまーすwwwwwww!

と、なるはずもなく。しかしほんの少しお土産を恵んでいただけることに。ありがたや!でもやっぱりいらないんだと思う。
レコードの山の前に戻りセレクトを開始。レーベルから見てなかなか偏りのある内容だった。そしてレコードのレーベル同士が経年劣化した紙スリーブで一体化していて、そっと引き剥がすのに苦労。夜になり蚊にされながらも、小指の先の厚み程もない量をひとつまみ。


บานเย็น ศรีวงษา/ ลำเพลินแม่หม้ายกล่อมลูก
赤ちゃんの鳴き声が印象的なバーンイェン・シーウォンサーのラム・プルーン。この年はシーウォンサーが比較的よく掘れた気も。例の捨ててしまったレコードも出てきたが針飛び盤だった。いつかまともに聴ける盤を入手したい。


บานเย็น รากแก่น/ลำเพสินระดับโลก
ガチャガチャとした不思議なアレンジ上で華麗にラムするラーケン。クライマックス前に終わってしまうような印象も。男性歌手の裏面が良かった。


อังคนางค์ คุณไชย/ลำเพลินพัฒนา
アンカナーンさんの最初期の曲でしょうか?ファーストアルバムに収録されている。このころ10代半ばとは到底信じがたいエネルギーを放っている。

つづく

2018年12月2日日曜日

2017 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.7




翌日、ウボンを後に。隣県シーサケット県のシーサケットへ。宿を見つけて前年レコードを買った人のところへ。午後に再訪の約束をし、午前中は隣町ウトムポンピサイを散策。前年見つけた家電店でカセットテープ1本だけ購入。
午後シーサケットへ戻り前年自分が掘った残り物を試聴。シングルとアルバム合わせて28枚の収穫。2000バーツ。去年の自分がよくもまあこんなに残していったもんだと少し呆れる。
話をよく聞くとお父さんがラジオDJだったそうで、その時のものだそう。数年前バンコクからバイヤーが現れ「全部まとめて売れ」と言われたが断ったそうだ。レコードに歴史ありですね。


B面:บานเย็น ศรีวงษา/ลำล่องม่วนม้วนโดย บานเย็น ศรีวงษา
バーンイェン・シーウォンサーのプロモ盤。心揺さぶる魂のラムが収録されています。一度は忘れられた存在であったようですが、最近はタイ国内で彼女の活動により、また知名度が上がっているそうです。


翌日、宿の部屋で起きてぼおーっとしていると、聴きなれたフレーズと太鼓の音色が外から聞こえてくる。向かいの寺のほうから…もしや!と思い猛ダッシュ。


むむっ、これは!


出家の行列ですね。うしろの方で本日の主役が大男に肩車されています。


ハンドメイド感満天な手押しサウンドシステム。大太鼓のオヤジは常にこの表情を崩さない。


サイケデリックなグルーヴを生み出すギターのオヤジ。


転んで血だらけになってまで踊り狂う男。


満足したあと宿をチェックアウトし街中にあるオーディオ店へ。ここの店主はレコードコレクションを持っており、少し見せてもらった。ウボンの友だちにコレクターがいるそうで、モーラムとか持ってないか聞いてくれることに。


そしてローイエット寄りのラッタナブリ(日差しが強すぎてレコード探しを断念)を経由して夕方スリンの町に到着。

つづく

2018年11月30日金曜日

2017 イサーンでレコードひと山当てられるか!? vol.6




二週間後、ウボンラチャタニ県の東の果て、チョンメックの低い国境をまたいで「あちら側」からタイへと戻ってきました。今回は田舎町を可能な限り回ろうとメコン沿いのコーンチアムという町を目指します。バス停へ行ってみるとコーンチアム行きのロットゥーはなし。仕方なくバイタクで30kmくらい走ります。途中、息を飲むようなシリントーン湖に沈む夕日の絶景を眺めながら到着。宿を見つけてから市場へ。ソムタムを買ってみると超激辛でイサーンに戻ったのだと実感。


翌日、午前中コーンチアムを散策。織物が盛んな町のようで、工房を発見。念のためおねーさん方に聞いてみます。するとひとりがレコードはないけど「私はモーラムなのよ」と言ってスマホの動画を見せてくれました。太鼓、ピン、ケーン、おねーさんモーラムのアコースティックな編成でこの工房で演奏したもの。カッコイイ!併設されたカフェではおにーさん方に「ウボンへ行け」と言っていくつかヒントをもらいますが、その情報も前年に回ったところのような気も。

うだるような暑さの中さらに町を散策。すると、おばーさん方が家先でまったりおしゃべりしています。念のためおばーさん方に聞いてみます。すると「モーラムはここにおる」と言います。またしてもモーラムを発見、そしておばーさんモーラムが一曲吟じてくれました。貫禄があります!先ほどの機織工房へ戻って聞いてみるとおねーさんモーラムのお母さんだそうです。

そんな出会いに満足したところで次の町、ピブンマンサハーンへ。ウボンラチャタニへ行く途中にあるので立ち寄ります。市場の周りをうろちょろしているとCD屋を発見。プムプワン・ドゥワンチャンの写ったCDを買ってみた。帰って聴くとそれはワイポットの歌うCDでした。


夕方ウボンラチャタニへ到着。前年に引き続き2回目。夜だけ出現する屋台群が好きでついつい長居してしまう場所。運動好きのウボンピーポー。
夜、宿のおじさんにレコードレーベルに書かれたモーラムの名前の読み方を教わった。


翌日、ウボンの町を探索。前年は市場近くの中華街くらいしかまわれなかったので、今年はもっと広く探索。するとレコードありますよ的な面構えの店が!なぜ前年は目に止まらなかったのだろう?…でも結果的にはレコードはなかった。

しかし今現在はこのごちゃごちゃした看板は引きはがされ、店の印象も、オーナーも変わり?補充されているわけではないので内容はズタズタですが、他の場所から移動してきたレコードが売られています。決して行ってはいけません。


その後見つけた民家の居間のような店などで、やっとのこと80年代初頭っぽいモーラムのシングルなど9枚とLP1枚収穫。出てくるのはルーククルンか80年代ポップスばかり…トーンサイのカセットをゲッドするも、ラジオ番組が上書き録音されていた!


翌日、ウボンの南にある町、デッドウドンへ日帰りで行ってみるも空振り。写真はさびれた家電屋。出会ったミュージシャンぽいおじさんに色々と教わりました。どうやらウボンに長居をしすぎたようであります…

つづく