2021年12月31日金曜日

2021年ベストディスク11!(暫定版)

今年も引き続きパンデミックの影響で海外旅行はおろか、レコード屋へ出動する回数も激減。自宅ネットディグ、あるいは自宅近辺ディグばかり。もはや「近場のゴミ箱から」状態!そんなこととは関係なしに日本国内/国外リモートで今年収穫した60枚くらいのLPレコードから2021年の私的ベスト11は未聴盤や受け取っていない盤も結構あり選びきれなかったので、とりあえずの暫定ベスト11!(送料含む)

The Lebron Brothers Orchestra/Psychedelic Goes Latin、¥1590
ヤフーオークションで購入。なぜだかニューヨーク・ラテン、サルサに対する興味が沸々と湧いてきた。ブーガルーは基本的に嫌い。最後の2曲、キレッキレのワワンコ、激アツのデスカルガの流れが最高!

Various/Pirates Choice、¥2500
ヤフーオークションで購入。神々しいまでに清廉なムードを湛えたリードトラック「A Prayer To Jah」に先ずやられる。なにやら当時カナダで勝手に作られた海賊盤コンピレーションを正規でリリースし直したという歴史的曰く付き物件。

Saksayam Phetchomphu/O So Ro Rak、¥5973
タイからリモート購入。ルーク・トゥン三羽烏のうちのひとり、サックサヤーム。極上のボーカルとサイケデリックなアナログシンセのコンビネーション。濃厚な男の世界。とっくに演歌も分かる歳になってきたかも知れない。タイに掘りにゆき泰。

Burning Spear/Marcus' Children、¥1407
ヤフーオークションで購入。バーニング・スピアーのアルバムでは今のところベスト。濃密なメッセージ性。饒舌に歌うギター等各楽器の明瞭性が高くて、バランスが取られたミックス。リュック・ベッソンの映画「レオン」でマチルダ家のシーンに登場するレコード。

Phillip Frazer/Come Ethiopians、¥6225
eBayで購入。ルーツ期の作品。実直な歌声によるラスタ、アフリカ讃歌。Soul Syndicateがバックで演奏しているそうで、チナーのギターが乾いた演奏の上で控えめに歌っている。

Chico Freeman/Kings Of Mali、¥3910
ヤフーオークションで購入。「Kings of Mail」の冒頭からの親指ピアノの集団高速大合奏から、83年作でも再演されたチコの定番曲「Illas」へとなだれ込む流れがとにかく気持ちいい。

Bob James/Hands Down、¥300
アンティークショップで購入。「Macumba」、密林感のある、ともすれば胡散くさいアレンジが今も昔も変わらず大好物。

Sun Ra/The Futuristic Sounds Of Sun Ra、¥125
リサイクルショップに降臨。宇宙からのギフトでしょうか。不穏、胡散、宇宙、流麗。自分が好きな要素が全てぶち込まれたアルバム。正に家宝級レコード。でもサン・ラコレクターにはなれない。

Augustus Pablo/King Tubbys Meets Rockers Uptown、¥5850
ヤフーオークションで購入。キング・タビーによる傑作。もはやジャンル不明、超クリエイティブ!超重量級のベイスとダブ処理、異次元に飛ばされてしまうような音響芸術。これこそトリップミュージック!!

Various/沖縄民謡集 舞踊特集、¥110
リサイクルショップで購入。琉球民謡のレジェンド、喜納昌永、嘉手苅林昌等参加の歌って踊って!の琉球民謡お楽しみ盤!

Caetano Veloso/Caetano Veloso、¥1700
ユニオンで購入。20年近く前からずっと聴いてみたかったカエターノの弾き語りアルバム。ついに手元に転がり込んできた。悪いわけがないだろう。至福の音がここに。

2021年11月27日土曜日

リガ, Riga/VINYLLA

  [ WAX made in the USSR / first round vol.7 ]

続いてやってきたのはVINYLLAというレコード店。Riga Record Digのオーナーが近くにレコード屋が一軒あるよ、と言って連れて行ってくれました。オーナー同士も友達であいさつ。事前ネットリサーチでは全くヒットしなくて、当時できたばかりの店のよう。こんなふうに偶然たどり着く店があるのも旅掘りの魅力のひとつ。

広くも狭くもないけれど、天井が高くてレコードの量も多い店内。洋楽のロックがメインでソビエトものは床か端っこのほうに。オーナーのほかに週末ということもありスタッフが2名。リガの観光中心地からは徒歩20分以上とだいぶ離れていて地元のお客さんが中心。

中古のレコードを購入するとヨーロッパで人気の洗浄マシーンOkki Nokkiでレコードを洗浄してくれるというありがたいサービスが。スタッフの女の子がレコードを洗浄してくれて、店内に洗浄液を吸い込むバキュームの音が響き渡ります。

壁際に飾られた豪華なブームボックスコレクション。ここのオーナーはビンテージマシーンが好きなよう。

マシーンついでにレコードを購入するとタダで飲めるコーヒーマシーンも。小さな子連れのあ母さんが1ユーロの中古レコードを購入してコーヒーをテイクアウトして出て行きました。レコード2枚購入したので帰りがけに真似してテイクアウト。

Raimonds Pauls, Jānis Peters/Sister Carrie、5EU。
ラトビアのコンポーザー、鍵盤奏者、ゴッドファーザーRaimonds Paulsによるミュージカルのサントラ。B面2曲目の「The Detectives」などRaimonds PaulsでMirdza Zīvereがボーカルで参加しているとくれば間違いなし!ということは後々すぐに分かってくる。


つづく

2021年9月11日土曜日

リガ, Riga/Riga Record Dig

  [ WAX made in the USSR / first round vol.6 ]

タルトゥから夜行バスに揺られ、ようやくエストニアを抜け出してやってきたのはバルト三国の二ヵ国目ラトビアの首都のリガ。昨晩Ahtoが例のリガのレコードディーラーのオーナーに連絡をすぐに取ってくれたようで、彼と翌日待ち合わせの約束をし、バスの中でずっとレコードリストとにらめっこ。おかげで全然寝れてない。

まだ夜明け前、薄暗いうちにリガに到着しバスからたたき降ろされる。取り敢えず予約してあった宿にチェックイン。そしてヘルシンキのRedhill Recordsの店主が教えてくれた例のリガ駅の後ろの市場、リガ・セントラルマーケットへ早朝ディグに向かいます。

市場は美味しそうなものがいっぱい、ちょっとした食堂で朝ごはん。ここはリガのマイフェイバリットスポットに決定。市場のメインとなる大きな建物の外側にもちょこちょこ様々な店があり、早朝にも関わらず営業中のアンティークショップを一軒発見!店の外からガラス越しにレコードが見えたので入店し一枚購入。

Imants Kalniņš/Dzeguzes Balss、2EU。
昨日Ahtoに教えてもらっていたレコード。ラトビアのロック史における非常に重要なアルバムだそうだ。どこか劇場型でコンセプチュアルな構成、サイケデリック極まりないヒリヒリするA面4曲目がなんといっても白眉。





その後お昼前にディーラーのオーナーと指定の待ち合わせ場所で合流し近くの倉庫へ。その名もRiga Record Dig。事前にコンタクトを取れば訪問可能なようです。倉庫は街区を取り囲むとてつもない大きさの建物の裏側にある、これまた大きな裏庭の中に佇む建物の中の一室にありました。初訪問では案内なしでたどり着くことは不可能。倉庫だけど小さな小部屋。また別の場所にメインの倉庫があるみたい。

眠くてしんどいけど、事前に連絡してあったレコードを見せてもらいました。大した話はしていないけど、オーナーはソビエト時代の音楽に非常に精通していて、その知識量と深さは桁外れだと思われます。欲しいものは大体彼が持っている感じ。因みに日本からくる通販の注文はクラッシックばっかりだそうです。コーヒーをいただきながら13枚購入。

Argo/Discophonia、16EU。
なんだか抜けの悪いキック音。ヘンテコな展開。妙な各楽器のミックスバランスの妙。寸止めの美学。お気に入りのアルバム。リトアニア産のカルト電子ディスコ。

Argo/Žemė L、7EU。
同じグループの2枚目のアルバム。客演の男性が歌うバナキュラーな民謡を最初と最後にフューチャーした慈悲深い雰囲気のオーガニック・エレクトロニクス・チルアウト・ミュージック。

Igor Czerniawski/Discophonia、12EU。
在ポーランドのロシア人シンセサイザー奏者。仄暗く重々しいダウンテンポ、シンセポップからフィードバックノイズまみれのポストロックを10年先どりしたようなアバンギャルドな曲まで。

Mikhail Chekalin/Concerto Grosso - II、8EU。
ロシア人シンセシスト、作曲家の12枚のLPレコードとして発表された実験色色濃い「火星」シリーズの最終作。シンセサイザーと人声を駆使して映像的な空間を構築している逸品。

つづく

2021年6月28日月曜日

タルトゥ, Tartu/Psühhoteek & Gramophonetree Records

 [ WAX made in the USSR / first round vol.5 ]

3泊したタリンを後にし長距離バスでやってきたのはエストニア第二の都市タルトゥ。タルトゥ大学を中心とした小さな学園都市といった感じ。
午後3時くらいに街に着いて向かったのはGramophonetree Records。建物の2階にあるはずなのだけど、建物の扉が施錠されていて開かない。1階のバーの出入り口には学生でしょうか、若者が異常なほど頻繁に出入りしていました。しばらくしてバーの中から2階に行けることに気がつきます。2階は何部屋かに分かれていて結構立派なライブスペースなんかがあったりして、爆音でリハーサルをしていました。
Gramophonetree Recordsに入ると誰もいませんが、しばらくすると写真右の店主が登場。ロック好きの店主の好みが反映されて筋の通ったセレクション。もう閉店時間ということで急ぎ目でロシア物を1枚購入。

Ponomareva Valentina Dmitrievna/Temptation、8EU。
ロシアのジャズボーカリストによるひとり多重スキャットとドローンや謎の鳴り物を駆使し、あの世に逝っちゃってる感がハンパないアバンギャルドな逸品。

翌日市内を軽く観光し終わり、街の西側郊外をぶらぶら街歩き。この街には東ヨーロッパ唯一と言われるレコードプレス工場があります。せっかくなのでちょっくら覗いていきました。

そして夕方に訪れたのはもう一軒のレコードショップPsühhoteek。上の写真の左側Ahtoが営む店です。営業時間はトリッキーということで、Gramophonetree Recordsの店主が事前に電話で確認してくれていました。今の場所は一軒家ぽい邸宅の半地下で営業中ですが、元々はGramophonetreeの入る建物で店を構えていた模様。

Ahtoは10年代以降の感覚のDJ耳を持っているタイプのディガーで、かつスーパーナイスガイ。多くはないですがソビエト時代のいい感じのグルーヴを持ったレコードを確かな審美眼でセレクトしています。

ロシア極東のレコードたち。よくレコード屋の宣伝文句で「辺境」などと形容しますが、何故だかこのスリーブを眺めていると日本のレコードも十分辺境だぞと感じます。

翌日朝にはバルト三国の2ヵ国目のラトビア共和国の予定。ラトビア産のいいレコードを教えてくれます。

次から次へと運ばれてくるオススメレコードをバンバン試聴します。現地の頼れるレコードソムリエが隣にいるとレコード収集が効率化されます。

Ahtoが見せてくれたイギリスかどこかの音楽雑誌をアンチョコとして保存。

コーカサス地方やモンゴルのレアリティも…。いつかたどり着けるのか。

最後にラトビアのリガのオススメ掘りスポットを教えてくれと頼むと、Ahtoもよく買っているというリガのレコードディーラーに連絡してくれるとのことで感謝。ということで5枚購入。おまけでAhtoが大学図書館の放出でゲットしたというNative Sonのジャズファンク色の濃いキラーアルバム「Shining」のソビエト盤をもらいました。

Andrei Rodionov & Boris Tikhomirov/512 Kbytes、10EU。
ロシアの電子音楽コンビ。当時の西側の影響を受けたザ・シンセポップな曲から、おふざけな曲まであり相当な知能犯というのが垣間見れるアルバム。

Zodiac/Music From The Films、8EU。
2本の映画からゾディアックのサントラ物。以前のコズミックディスコ一辺倒のアルバムよりもロック色やアンビエント色が増していてバラエティー化している。


つづく

2021年3月28日日曜日

タリン, Tallinn/Balti Jaama Turg(とRaamatukoi Grammofonと共産テクノ)

[ WAX made in the USSR / first round vol.4 ]

翌日、タリンの郊外にあるスリフト/リサイクルショップ巡りを経て、夜宿に帰る途中、宿と目と鼻の先にある例のレコード屋「Raamatukoi Gramofon」に釣り果でも見せようかなと再び立ち寄りました。

二日連続で来る観光客は珍しいのか、結果的に店主に3時間くらい拘束され、あれこれと愚痴やらレコードやら何やら聞かされました。ここの店主が色々とお買い物に協力しているらしく、当時日本で東欧編が発行されたばかりの「共産テクノ」やら「共産主婦」のことから、「日本のフュージョンミュージックのレコードジャケットは全部色が青い」などなど。エストニア人の口からニホンゴで「キョウサン〜」というフレーズが出てくるのは面白くもありますが、解放された頃には外は真っ暗、ゲンナリ。
その拘束中に得た数少ない有益情報がふたつ。ひとつはタリン駅のすぐ反対側には新しいショピングモールにはアンティークショップの集まる一角があり、レコードが置いてあるということ。もうひとつは次に行く町タルトのレコード屋界隈の情報でした。情報ありがとう!

やっと帰宿すると同宿の日本人の丘マイラー・トラベラーのおばあさんの武勇伝を飲みながら聞かされさらにゲンナリ。彼女はこの街にインスピレーションを得て、あと二週間近くタリンに沈没するそうですが、翌日からヘルシンキに足をのばすと言っていました。大丈夫でしょうか。

翌日、エストニア第二の都市タルトに向かう予定ですが、バスステーションに向かう前の午前中に昨夜教えてもらったそのショッピングモールBalti Jaama Turgを訪問。タリン駅のすぐ北側にあります。

新しく、もしかしたら列車の車庫か何かをリノベーションした建物で、1階は食品関係のマーケット、2階は古着や雑貨などのマーケットになっていました。2階の端の一角に10軒ほどの店が軒を連ねるアンティークマーケットを発見!

その中のひと店舗、やたらと派手な電飾を施した店がこんなん感じで、いかにもリサイクルショップといったレコードの並べ方で売っていました。他の店にもレコードが置かれていましたが、ここが一番大量でした。全部見ていき、次々に欲しいもの、気になるものを引っ張り出し8枚ほど購入。店のおじさんが少し値引いてくれたような記憶があります。


Tatiana Antsiferova/Look Back At Your Childhood、5EU。
ロシアの女性歌手。レゾナンスたっぷりの空間的なシンセ使いで同時代のアンテナとかに似たバレアリックな質感もあるポップス。なかなかにヨシ。


ABC/Ansambl Angela Vlatkovića、5EU。
ユーゴスラビアからソビエトに出てきて、そのまま居ついた?グループの人気のアルバム。70年代に西側のロックミュージックを持ち込んでソビエト内で人気になったのかもしれない。「Мечты」 などキラー曲てんこ盛り!



つづく