奄美シマ唄のレコードがなかなか手に入らず、ヒョエェェェェェェェーーーー!!!
っと裏声でシマ唄の発声練習も兼ねて悪態をついていたある日。突如として画面の中に現れたバニラエアの奄美大島行き片道550円セールのチケット。気がつくとチケットをポチっとな(往復総額6000円くらい)。
出発日。緊張の面持ちで、初の成田空港第3ターミナル。トラックを疾走します。
「バニラ君よ、君はなんと素晴らしいセールをしてくれたんだ」と心の中で万歳三唱をしています。この時までは。
飛行機に乗り込み着席すると、そこはまるで地獄でした・・・
若い女性のふたり連れのうち、隣の席に座ったひとりが大音量で「ゲホゲホ、ずーるずる」の大合唱をひとりでに始めます。
ん・・・?君、もうすぐ死ぬんじゃないのかね??という勢いで。現在インフルエンザ大流行中。しかし当の本人はのんきに奄美旅行プランについて話しています。なんとたくましいことか。窓ぎわに閉じ込められ、病気がうつって奄美で寝込む自分の姿を想像。
「この中にどなたかお医者様はおられませんか?」
離陸後の旋回(機体が斜めになる、あの嫌なやつ)、風で煽られ全力でガタガタする機体、そこに時間が経つにつれどんどん加速してゆく真打「ゲホゲホ、ずーるずる」の三十苦に悩まされながら2時間ちょっとで到着。
飛行機から這い出ます・・・・・空気を吸わせて下さい!
いもーれ!!!
深呼吸をし、そそくさとバスに乗り込むのでした。
もう夕方。宿に荷物を放り出し、商店街へ。先日電話で確認しておいたお店へ向かいます。元気のない商店街。
リサイクルショップねこのて 末広店。
グーグルマップを頼りにあたりまで来るも、それらしきお店がみつからず。とりあえず電話をかけてみました。電話上であたりに見える他の店の名前を伝えると、なんと!目の前から電話をかけていることが判明(恥)。
店のおばちゃんたちに、いもーれ!と挨拶し、そそくさと入店。
紅白幕がかかり、なんだかおめでたいレコードコーナー。
いろいろな張り紙が張ってある。「都会で話題のプレミアものがみつかるから・・・探してね」
あれれ、フォークばっかり出てくる・・・
レコードをさくさく見ながらおばちゃんと話していると、この前北海道からの人が8枚もしま唄を買っていったよと知らされ、無駄にハートに火がつきます。
途中から地元の中年デ(ィ)ガーが入ってきて、いっしょにデ(ィ)ギン。名瀬の他のデ(ィ)ギンスポット(しつこい)について尋ねました。すると同じ商店街のすぐ近くに本当の町レコード屋、ミュージックショップ「じんのうち」があったが、つい昨年末閉店したとのこと。その地元デ(ィ)ガーは、閉店のセールで「100円でユーミンの新品レコードを買えた」とホクホク顔。
しもた、来るのひと足(ほんの二ヶ月)遅かった・・・
(奄美で出てくる中古レコードにかぶっている外ビニール袋の半分には「じんのうち」の名が刻まれている)。
いっぽう、デ(ィ)ガーによると、今奄美ではリサイクルショップが「流行っている」そうであちこちにあるのだそう。バタバタと個人経営の店が閉まっていくご時世に本当かと思うも、ここは関東とは違います。微かな期待をいだくのでありました。
そして釣果はというと、しま唄の唄者、武下和平氏の第一集(改訂版)を発見!
・・・というか一番目立つところに置いてあったので速攻で捕獲成功。
裏ジャケットには小さな穴がボコボコ開いている。虫食いだろうか、たいして気にしなかった。
それよりもとんでもなくディープな油とホコリが混ざったような汚れがレコード盤に付着している。中華料理屋の厨房にでも放置されていたのだろうか?おばちゃんに雑巾を借りて、少し拭ってみると、取れそうな汚れだったので購入決定。第二集は先に持っていたので武下和平傑作集改訂版シリーズをコンプリート!!!
後日家で掃除してみると裏ジャケの穴と同様に盤のB面にたくさんのボコボコの凹みがあることに気がつきます。
こ れ は ・ ・ ・ ネズミの歯形や(凹凹凹 ←こんなかんじ)
鼠がかじった場所が異常にバチバチしながら針の寿命を縮めつつ、このレコードは今日も軽快にクルクル回るのであった。
19時閉店なのでお会計をし退店。
店を出たあとの道すがら、じんのうちさんを発見。なんだか悲し。ついさっきまでアナタの存在さえ知らなかったというのに、なぜか大きな喪失感と哀愁を感じてしまいます。
「嗚呼、じんのうちさん」。
つづく。
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